その館に住む者は、必ず不幸になる。 

話題のADVゲームをプレイしてみたのでカンタンに感想を!

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中世のヨーロッパを舞台にした悲劇的な短編を読んでいくと思いきや…
思わぬ物語展開と伏線に久々に「うぉっ」 となりました!

以下、個人的な批評。各項目10点満点中です。


◆シナリオ 7
わけも分からず突然悲劇的な4つの短編のストーリーが進んでいく、
という最初の展開なのですが
その4つの短編がどれもクオリティが高い。ただのプロローグで終わっておらず、
特にとある章のミスリードを誘う技巧は中々でした。
しかし、実はその4つの短編が思わぬ物語展開を呼び、更なる悲劇が…
といった感じで実に大胆な展開と壮大なスケールの物語にはかなり驚かされました。
これでもか!といったくらい悲劇が襲いかかってきますが(笑)
これだけの群像劇と時系列をうまく書いてて本当に読んでて関心してしまいました。

中世が舞台なのに『マジ』とか『イケメン』という言葉が出て
雰囲気が度々壊されてしまったのとラストのややご都合主義
(特にとあるキャラクターの自白の持っていき方)な展開が個人的にはちょっと減点。
でも、これだけの複雑なシナリオをほとんど違和感なく書き上げていて
素晴らしいシナリオです。

◆画 8

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いわゆる『萌え絵』とは違う油画を基調にしたキャラクター画と背景なので
慣れていない人には違和感があるかもしれませんが、物語の雰囲気ととても
合っていてすぐに慣れることができます。
館の背景や庭、森の中の背景などもものすごく精巧で(トレースなのかな?) 
臨場感を味わうこともできます。
特に作画が崩壊しているというシーンも無く、素晴らしい出来栄えでした。 

◆キャラクター 8
 

このゲームの大事なところに『対話』がテーマにあると思うのですが、
そこには対話させるキャラクターがかなり重要になってきます。
登場人物の絡みが悲劇を生んでいくのですが人物ごとのキャラクター設定、
バックグラウンド、他の人物との兼ね合いと非常にクオリティが高く

個性が強すぎる?キャラが多いとは言えこれをよく書き分けて、バッティングさせています。
ネタバレになるので言えないのですが、キャラクター設定をうまく使った
後半の伏線回収も素晴らしかったです。


◆演出 9
作品自体が『演劇』を基にしているだけあって大胆な演出から
細かい演出まで散りばめられており読んでて飽きがきませんでした。

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例えば立ち絵では話しているキャラに光が当てられているような演出がされています。
(この画でいうと右のネリーというキャラが喋っているので光が当たっていますが
 聞き手のメルという左の少年は暗くなっています)
こういう演劇チックな演出が結構好きでした。
また、メッセージボードに血が飛び散る演出など
一般的なADVではあまり見かけない細かい演出もGOOD!

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また、ネタバレになりそうで怖いのですが、同じ一枚絵を使ったミスリードや
選択肢のうまい使い方など本当に演出が凝っています。
演出ありきのシナリオ、といっても過言ではないかもしれません。

◆音楽 7

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なんと同人ゲームにも関わらず総楽曲数65曲、
うち35曲に歌が入っています(外国語の歌です) 

なんという気合の入りっぷり・・・
キャラクターに声が入っていないのでその分BGMに歌を入れることができたのでしょう。
楽曲はどれもクオリティが高く、雰囲気に合っています。

ただし、
どうしても重要なシーンに外国語の詩とはいえボーカルが入ると集中ができなくなります。
個人的にはそういうシーンはBGMだけにしていただければよかった…

システム 5
特に突出したところはありませんが、初期のコンフィグのオートモードの設定が速すぎる
(自分は大丈夫でしたが、追うのが難しい人もいるのでは?) 
選択肢でセーブできない不具合?がある、オールクリアしないとCG画や
BGMモードに入れないのは少し残念でした。
ただし、バックログの背景画は非常に気に入っています。


総評 44/60

約4年間近くかけて製作された今作。
非常に力が篭っているのがプレイしながらヒシヒシと伝わってきました。
プレイしていて思ったのは
この作品ってギャルゲーとかアニメとか小説にしたら絶対できない演出あるよな
ということです。同人だからできること。
それを使った大胆な演出に思わぬ展開を起こす壮大なストーリー。
それらが噛み合って非常に重厚な群像劇になっています。
ただし、重いだけでなく、読ませる文章とストーリーなので読み進めるのが容易です。

これだけのゲームが同人ゲーにあったことに驚いています。
制作された方々にはこの作品に出会わせていただき、感謝しています。
ぜひぜひコンシュマー化してほしいですね。





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